具志川グスクに新遺構!
具志川グスクは沖縄本島最南端の喜屋武岬の近くにある、海岸に築かれたグスクです。断崖のきわに立つ城壁はまさに「海城」。保存状態もよく、2つの郭からなると考えられてきました。城郭イラストレーターの藤井尚夫氏によって復元画も描かれています(こちら参照)。イラストには、グスクの中央に基壇と階段が設けられ、その上には板ぶき屋根の立派な正殿が描かれています。
最近、この具志川グスクを訪れる機会がありましたが、発掘・整備が進み、新たな遺構が姿を現わしていました。グスク中央部分は次にような感じです(クリックで拡大)。
これまで基壇と考えられていた部分は、なんと階段付きの門になっていて、基壇ではなくもう一つ城壁があったことが遺構からわかります。
想定復元すると、次のようになります。
この部分の城壁は、外郭が自然石を積んだ野面積みに対し、丁寧な切石の布積みで積まれています。この区画が堅牢な防御をほどこした最重要エリアだったことがうかがえます。
さらに門の部分を見てみましょう。門の端には丸い石が置かれています。
これは門の柱を載せる礎石(そせき)でしょう。
さらに門を進み海側の郭に向かうと、今度は階段状の遺構が。
想定復元すると、このような感じです。
つまり、具志川グスクの郭は2つではなく、中央部が一段高くなった郭を合わせて3つだったことが判明します。中央部の郭は非常に狭く、正殿のような中心的な建物を建てるのは難しいでしょう。こちらは奥側の郭を守るスペースのような役割があって、正殿は一番奥にあったのではないでしょうか。
遺構は何段もの石垣が重なっているので、何度か改修・増築した様子がうかがえますが、さらに調査が進めば、遺物などから時期差も明らかになるでしょう。グスクはまだまだわからないことがたくさんあることを実感します。