歓会門の真の姿
首里城の正門として知られる歓会門。連日、観光客がここから城内に入っていきます。おそらく気づかれた方もいると思いますが、この門と近くの久慶門は櫓の壁面は何も塗られてないのに対し、他の門はすべて朱色で塗られています。櫓の造りも若干異なるようですが、いったいなぜなのでしょう。
実は首里城は一気に復元されたのではなく、何段階かに分けて出来上がっています。歓会門は城内第一号の復元で1974年(昭和49)に竣工。続いて1983年(昭和58)に隣の久慶門が竣工しています。そして1992年(平成4)に正殿など中枢施設と他の大部分の城郭が復元されました。
戦前の写真を見ると歓会門の造りが現在のものと微妙にちがいます。どうやら昔に実施した復元ということもあり、精密な考証をしないで復元したようです(というか1992年復元の正確さがハンパないのですが)。
では実際にはどのような姿だったのか。想定復元したのが【画像】です。
櫓の形式は他の門と同じ造りで、本来なら朱色に塗られていたとみられます。一方、近年復元された外郭の継世門【画像】はきっちりと考証されています。おそらく歓会門も継世門と同じだったでしょう。
歓会門はすでに築40年で、やがて老朽化により建て替えの必要がでてきます。首里城整備計画では既存施設の見直しも進んでいて、歓会門もそのリストに入っています(【こちら】の12ページ。pdfです)。改築時には正確な考証をした門が復元されることを期待しましょう。
参考文献:『首里城の復元 正殿復元の考え方・根拠を中心に』