野面積みから布積みへ
前回、前々回と布積みのタイプについて紹介しましたが、自然石を積んだ野面積みから加工した布積みにはどのように変わったのでしょうか。実は野面積みと布積みの過渡期とみられるグスクの石積みがあります。
糸満市にある上里グスク。大部分は野面積みで、高いところになると3、4メートルもの石積みが大規模に残っています。糸満市は南山グスク推しではなく、上里グスクを保存・整備したほうが絶対いいと思うのですが、まあそれは別の問題ということでおいといて。
画像を見ると、石積みの上部、自然石ながら長方形に近いかたちの石が縦1列にそろえて積まれています。野面積みしては規則性があるものの、かといって布積みほどキチンと加工されて積まれてるわけでもないという曖昧な石積みです。
これがおそらく野面積みから布積み(仲栄真グスクのような縦に目地が通るタイプ)の過渡期に当たるのではないかと思います。上里グスクに隣接する山城グスクにも、野面積みながら表面を整え、規則正しく積もうとした石積みを見ることができます。
グスク石積みのタイプ、よく観察するともっと細かく区分できるかもしれませんね。
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コメント
過渡期、移行期っていうのは、こんな微妙に曖昧な感じなんでしょうか。
あるいは、熟練工と若年作業員との技術の差も考慮したほうがいいかもしれませんが、確かに技術向上の証拠と見なせそうですね。
投稿: 琉球松 | 2013年6月15日 (土) 15:01
>琉球松さん
同時代における技術差の可能性も当然あるかと思います。このあたりは石の素材で年代を確定できるわけではないので判断が難しいところですね。ただ時代的な変遷でいえばこの形式の流れであることは間違いないでしょう。
投稿: とらひこ | 2013年6月22日 (土) 12:49
いろいろと解釈困難なようですが、だいたいの傾向と見ていいんでしょうね。
調査研究されている方々には頭が下がります。
ところで、夏至の安慶名グスクの "テダが穴?" は天気も悪く確認できませんでした。
この穴の中心線が東西のラインだとすると、そのライン
の反時計周り30°の方向から、城内右側ギリギリの所に太陽光がカスルと思うんですけどね。
投稿: 琉球松 | 2013年6月22日 (土) 23:47
>糸満市は南山グスク推しではなく、上里グスクを保存・整備したほうが絶対いいと思うのですが
当方上里グスクファンの一人ですが、共感できる方がいてうれしいです。
石垣も良く残ってて見ごたえあるグスクだと思うんですが、手付かずの状態なんで年々崩れてるんですよね。
マイナーなグスクなので、自治体の予算もつきにくいんでしょうかね。
投稿: 三和村 | 2014年3月12日 (水) 14:35
>三和村さん
上里グスクファンがいるとは思いませんでした!あのグスクは崖下の山城グスクと合わせて非常におもしろいと思います。
大規模に整備しなくても、せめてこれ以上崩壊しないような保護をしてくれるといいんですけどね。糸満市は現在、具志川グスクの整備を行っていますけど、手がまわらないのでしょうか?
投稿: とらひこ | 2014年3月15日 (土) 11:04