巨大カタツムリ飼育ブーム(2)
◆食用蝸牛受難記(二)崎浜門川 (「琉球新報」1939年〔昭和14〕6月18日)
今年は遅れて5月に種を蒔き、成育不良のやつは適当に間引をして5本立てておいた。いずれも3、4尺の甲乙のない生育ぶりで、てっぺんは青く柔らかく大地のエネルギーを一身に掻き集めて宇宙無限に伸び行く構えをしている。
昨日のこと、いつもの通り朝早く起きて鑓水(やりみず)にかかろうとすると、5本の中1本はなくなっている。断面からして刈り取ってもちぎってもない、のからしてこれはてっきりかたつむりの仕業に違いないと思った。と言うのはこいつの一番の好物はヘチマだと聞いていたからである。案の定、夜の9時頃、懐中電灯で調査したら茎にしがみついている。■から2匹タンクのようにのぞくヘチマ目がけて■■してくるのと3匹狩り集めた。
おかげで飼育箱は一躍5匹の大家族で賑わっているが、この調子では夜懐中電灯を持って狩りに出れば家の周りの木の下にはウヨウヨしていることだし、ヘチマもバリケードを造って防護せねばならんとそれからはなんだか嫌気がさして、どうしたらこの害虫を処分するかと弱ってしまった。放り捨てると害虫を野原に散布することになり、さりとて踏みつぶすこともしのびない。隣の子供に「もらえ」とすすめると「いらない」と頭を横に振る。
(おわり)
※こうしてアフリカマイマイは沖縄中に広がることに…
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