テンペスト一挙放送!
本日12月29日、11時からNHK・BSプレミアムにてドラマ「テンペスト」が全10話一挙放送です!
あわせて時代考証を担当したワタクシ上里による「ネタバレ・テンペスト解説」もありますので、こちらを読むとドラマがさらに面白くなりますよ。
ドラマに隠された裏話や歴史解説が満載です。放送回ごとに分けられていますのでごらんください!
本日12月29日、11時からNHK・BSプレミアムにてドラマ「テンペスト」が全10話一挙放送です!
あわせて時代考証を担当したワタクシ上里による「ネタバレ・テンペスト解説」もありますので、こちらを読むとドラマがさらに面白くなりますよ。
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毎年恒例ですが、冬休みということで、しばらくお休みします。
ブログはお休みですが、ツイッター【こちら】はたまにつぶやいていますので、よかったらごらんください。
コメントについても休み明けに返すかもしれませんが、気長にお待ちください。
2011年は僕にとって大忙しの年でした。ドラマ「テンペスト」時代考証と特番の監修・出演、並行して数冊の本の執筆…来年はゆっくりしたいです。腰をすえて本来の研究に力を入れることができればと思っています。また今年書いた本は来年前半には出ますので、近くなりましたらお知らせしたいと思います。
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それではみなさん、よいお年を。
1644年、中国の北京が李自成らの反乱軍によって陥落、明朝は滅亡しました。満洲族・清の軍勢が万里の長城を越え、中国は動乱の時代を迎えます。明の遺臣たちは南へ逃れ亡命政権をつくり、明朝復興の機会を狙っていました。
明朝の朝貢国だった琉球もこの動乱に巻きこまれていきます。当初は明に従っていた琉球ですが、すったもんだの末、1653年には清朝の要請に従ってその傘下に入ります。
ところが、これに怒ったのが福建の厦門(アモイ)などを拠点に明朝復興をめざして抵抗運動を続けていた鄭成功です。彼は中国では民族英雄として称えられていますが、それは一面で、彼は日本や東南アジアなど海域アジアの各地に拠点を持つ、倭寇王・王直に続く海上勢力の雄でした。
中国へ朝貢に向かう琉球ですが、「裏切り者」の琉球に対し武力行使に出ます。そのときの様子を伝える琉球の政治家・羽地朝秀(はねじ・ちょうしゅう)のおそらく薩摩側に宛てた文書がありますので、それを見てみましょう。若干、意訳してあります。
琉球は昔より中国へ往来して商売をし、着物や身の回りの道具などにいたるまで(取引が)続いている状態でしたが、近年(中国が)戦乱になり、国姓爺(鄭成功)が海賊行為をしたため、通交ができず、万事が不自由になってしまいました。
そのうえ国王の位も中国から授与されています。また8、9年前に韃靼(だったん。清のこと)へ使者を遣わし、総勢40人ほどになりますが、いまだ帰国していません。このような捨て殺しのような状態になっており、気の毒です。
国姓爺は毎年日本へ船を派遣していると聞いています。それについて私が思いますのは、琉球船が中国へ行く時は、異議なく通過させるように国姓爺陣営へ話せば、(幕府・薩摩の)ご意向に背くことにならないだろうと思います。
「琉球も韃靼陣営へ従っていますが、それは本意ではなく、しかたのない次第です。また大明の時代がやってきたならば、いよいよ以前のように朝貢することもある」などと言えば、(彼らも)納得することもあるでしょう。何とぞ通交ができるように工面をひとえにお願いいたします。
右の内容は先日、口頭で申し上げましたが、忘れないようにと思い、このように(書面で)申し上げた次第です。
寅(1662年)3月15日 羽地(朝秀)
面白いのは、清に従っている琉球ですが、彼らのことを「韃靼」となかば蔑視して呼んでいることです。当時、清は北方の夷狄(野蛮人)ぐらいにしか思われていませんでした。「中華」はあくまでも漢民族の明朝だったのです。
羽地は明側の鄭成功に対し、今はやむなく従っているのだ、やがて明が優勢になれば再び朝貢するよ、と説得を試みようとしています。清に従っているのはあくまでもポーズだよ、と。羽地の本音は明側を慕っていることを意味するのではなく、要するに琉球は貿易ができれば、どっちでもいいということなのです。
小国・琉球のしたたかさが、かいま見えますね。
(つづく)
参考文献:『沖縄県史料 前近代1』
沖縄で話題沸騰、大好評のローカル特撮ドラマ「ハルサーエイカー」ですが、その意味がわからないというお話をよく聞きます。
ハルサーとは沖縄の方言で「畑をたがやす人」のことです。
エイカーとはエーカ、沖縄の方言で「親戚、一族」という意味。あと土地の面積を表わす「エーカー」という言葉もかけているそうです。
つまりハルサーエイカーとは、かっこよく言うと「大地に生きる一族」ということですね。
これらはすべて脚本役の山田さんの受け売りですが(笑)
そういうわけで、物語も残り数話。いよいよクライマックスです。これから最高潮に盛り上がっていきそうですね!楽しみに待ちましょう。
12月8日、沖縄のシネマQにて「劇場版テンペスト3D」の関係者披露試写会が開催されたので行ってきました。
大ヒットしたNHK・BSドラマ「テンペスト」をもとに内容を一新し、3Dにした超大作です。関係者ではNHKの吉村監督をはじめとした制作陣、そしてなんと角川グループ・角川書店の取締役会長、角川歴彦氏も出席。角川会長とは初めてお会いし、ご挨拶しました。
上映の前には舞台挨拶。角川会長と吉村監督、そして「テンペスト」で真鶴の子供時代を演じた田崎アヤカさんが挨拶をしました。角川会長や吉村監督、ともに沖縄に対する思いは並々ならぬものがあります。ご両人とも青年時代に沖縄を訪れ、その魅力にはまったということです。今回の映画は角川グループが総力をあげて製作したもので、角川会長の情熱がなければ決して実現できませんでした。吉村監督は娘さんの名前を沖縄にちなんだ名前にしたというぐらいですから、相当なものです。
映画の内容はネタばれになってしまうので詳しくは説明しませんが、とにかく3D!龍が迫ってきます。龍はドラマ版のCGよりさらにパワーアップし、よりリアルなものに。また首里城をはじめとした沖縄の美しい風景が奥行きのある立体映像で見ることができるのもすばらしかったです。ドラマがもとにはなっていますが、単なるドラマの総集編ではなく、ほとんど「別物」に仕上がっているということだけはお伝えしておきます。なので、ドラマを何度も見た方でも十分、楽しめます。これは必見です!
ちなみに試写会の参加者には特別に豪華パンフレットが配られましたよ【画像参照】。
映画の全国公開は来年の1月28日です。みなさま、ぜひご覧ください!
※なお12月29日(木)にNHK・BSで「テンペスト」全10話が一挙放送です!こちらもお楽しみに!
交易国家だった琉球は東南アジアのイスラム諸国とも交流がありましたが、なぜか琉球でイスラム教が普及することはありませんでした(こちら参照)。
なぜ琉球の人々はイスラム教を受け入れなかったのか。唯一アラーの神を信じる一神教が沖縄の宗教世界になじまなかったのかとも考えましたが、真相はもっと単純だったのではないかと思いつきました。
イスラム教の教義には、ブタは不浄な生き物として絶対食べてはいけないというものがあります。沖縄の人々はこれがダメだったのではないでしょうか。沖縄に肉食をタブーとする文化はありません。ブタをさかんに食べるようになるのは近世に入ってからですが、それ以前ももちろん食べていますから、「あんなにおいしいブタ肉を食べたらダメだなんて、ならイスラム教信じない!」と思ったのかもしれません。
真相は不明ですが、当時の琉球人の立場に立って考えてみると、この推測も意外と的外れではないのではないかと思ってしまいます(笑)