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2011年7月24日 (日)

【ネタバレ】テンペスト解説(3)

ドラマ、第2回目もあい変らず飛ばしていますね。高岡早紀演じる聞得大君が大変いい味を出していると思います。仲間由紀恵演じる孫寧温はどうなってしまうのでしょうか。さて第2回目で登場した各シーンの「なにこれ?」をマニアック解説です。【ネタバレあり】なのでご注意。

疑問1:御内原とはどんなところ?また男が入ってはいけない?

御内原(うーちばら、おうちばる)は首里城の大奥に当たる区画です。王妃や側室、女官たちが住む「女の世界」。当然ながら男性は国王以外立ち入ってはいけません。

女官たちは女官長の「大勢頭部(おおせどべ)」3人を頂点に編成されていて、女官は王妃らを取り巻く良家の婦女からなる「御側御奉公(ウスバグフークー)」と、農村から選抜された「城人(グスクンチュ)」というグループに分かれていました。この首里城御内原の女官組織は、聞得大君率いる神女組織とは別の組織です。ヒラの女官は「あねべ」といい、さらに見習い女官は「あがま」と言います。二階堂ふみさん演じる思戸はこの「あがま」ですね。

しかしながら、女性の霊的信仰があった琉球では女官たちの力も小さくありませんでした。女官長の大勢頭部は男性の役職の頂点である三司官と同等のクラスであったといいます。女性だからと言って、男性の役人から低くみられていなかったのです。

ドラマでは王妃の弟の普請総奉行が御内原に潜入し、聞得大君を陥れるために火の神の香炉を割っていましたが、男性が御内原入った場合、一世流刑(いっせい・るけい)、つまり終身の流刑になります。

※史実の御内原女官に関する記事は【こちら

疑問2:聞得大君が斎場御嶽で謡っていた雨乞いの歌は何?

あの歌は雨乞いの儀式で実際に謡われた祈りの歌です。

龍王がなし雨たばうれ 雨降て五穀やしなやうれ 雨たばうれ 龍王がなし

龍王がなし雨たばうれ 雨降てぼさつやしなやうれ かみしも揃て 願やべら

「聞得大君御殿之御願公事帳」という古文書に記されていた歌で、この文書はすでに現存しませんが、戦前の学者・伊波普猷が『古琉球の政治』のなかで引用しています。

実際の儀式は首里城御庭で行われ、水桶に入った水を、竹の葉を束ねたもので、上級神女たちが聞得大君や参列する神女、官人たちにかけながら、皆で神歌を3度繰り返して謡ったそうです。ドラマのシーンはこの儀式をアレンジして斎場御嶽で行っているようです。この考証は僕は直接関わっていませんが、神事指導、神歌指導の先生方によるものでしょうね。

疑問3:主人公寧温の兄、孫嗣勇(金子昇)が拷問を受けていたけど、あれは創作?

いいえ、あの拷問は王国時代に実際にあった拷問です。戦前の学者・真境名安興が『沖縄一千年史』で紹介した拷問の図をもとにしています。両脚のスネの上と下に2枚の板をはさんでその板をしばり、スネを上下するという拷問です。他には指と指の間に四角の木の棒をはさみ、指を縄で縛る方法や、水責めなどがありました。百数十年ぶりに再現された琉球の拷問でしたが、おそらく気づいた方は少ないでしょう(笑)

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コメント

こんばんは(^-^)/ さっそくですが質問です。
首里天加那志の加那志は、「がなし」?「じゃなし」?どちらも聞いたコトがあって…違いがありますか⁇

それから、第1回に上里先生が出演されていたそうですね‼
どのあたりに映っていらっしゃるのですか?教えて下さい。

投稿: うえま♪ | 2011年7月25日 (月) 02:14

拷問シーン…。

ちゃんと気付きましたよ!(笑)
確か図解が残ってましたよね。
2話の中で1番反応したのがこれだったというマニアックなワタシです・・・(^^;)

メロディーのついた雨乞いの唱、キレイでした★

投稿: 和々 | 2011年7月25日 (月) 06:45

高岡早紀の聞得大君、良いですね~!
原作の挿絵のから、
勝手に夏木マリをイメージしていたのですが、
もはや高岡早紀です。
さて、御内原のシーンが増えて疑問に思ったのですが、
後之御庭の地面は土ではなかったんですね。
御庭のストライプもそうですが、
あの白さは何から出来ているのでしょうか?
とにもかくにも御内原のシーンは新鮮でドキドキします(笑)


投稿: かわた | 2011年7月25日 (月) 14:13

地上波で見ました。おもしろかった~

で、すいませんが質問です。
仲間由紀恵さんは琉球王府の役人になる為の試験を受けてましたが、中国の役人になる科挙を受験する人って琉球にはいたのでしょうか?

BS導入しようかなぁ~

投稿: りっかりっか | 2011年7月25日 (月) 16:19

首里天加那志は「しゅりてんがなし」と発音してますが
記憶では「すいてぃん…」だったので、頭の中でつい変換しちゃいます。
本当はどちらなんでしょう?


聞得大君の雨乞いの歌、あれでほんとうに雨を呼んじゃった?
ていう話がメイキングオブ…で放送されていましたね。
撮影が雨にあってしまった、と。面白いなーと思いました。

投稿: pyo | 2011年7月25日 (月) 21:54

ご無沙汰しております。東京よりご活躍を拝見してます。
第一話を見逃してしまったので、上里さんの登場シーンと
我が母校にも掲げられている「海邦養秀」見れませんでした。。。残念(>_<)

第二話でエンディングのクレジットタイトルを見ていたら、上里さんのお名前を発見し、感動しました!!
ドラマの時代考証に関わっていらっしゃるのですね☆
小説はだいぶ異世界ですが、ドラマにて、実際の時代背景が再現されることでなんだか少しリアル感と親近感が湧きました (*^.^*)
フィクションとは言え、実際に沖縄にこのような女性が存在していたのでは??と思わずにはいられません!!!

今後がますます楽しみです♪♪♪

投稿: ゆいま~る | 2011年7月26日 (火) 09:19

>うえまさん
読み方はどちらも間違えではないと思いますが…厳密な違いについてはちょっとわかりません。より方言読みなのが「じゃなし」ではないでしょうかね?

ドラマのシーンは寧温の載帽式の際、右側の柱半分に顔が見えていますが、それが僕です(笑)

>和々さん
さすが和々さん!目の付け所がちがいますね(笑)ドラマ、一般の視聴者には気づかない箇所もこだわって考証しているものがたくさんあるので、ぜひそれを楽しんでくださいね。

>かわたさん
あの庭の白さはサンゴの欠片です。玉陵や京の内など今度行く機会がありましたら確認してみてください。あれと同じものです。

>りっかりっかさん
中国の科挙は琉球人は受験資格がなかったと思います。実際に受験した人は確認されていません。琉球の科試は科挙と同じようにみられていますが、実際の問題は江戸時代に使用されていた候文ですし、同じとはいえない試験です。

>pyoさん
「すいてぃん」のほうがより実際の発音に近いものです。今回ドラマは標準語なので、「しゅりてん」で統一しています。

高岡さんのインタビューで後ろが豪雨なのを見ましたが、あれが雨乞いの結果だったのでしょうか(笑)

>ゆいま~るさん
どうもお久しぶりです。ドラマの時代考証をすることになってしまいました。「海邦養秀」、見られなかったのは残念でしたね。首里高の同窓生はたぶんあれを見て「おー!」と思ったはずです。

実際に映像で世界を表現するとより身近に感じますよね。今回のドラマはフィクションな箇所が多々ありますが、全国の人に琉球の歴史を具体的にイメージしてもらえるのに非常にいいと思います。

投稿: とらひこ | 2011年7月27日 (水) 20:46

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