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2011年7月31日 (日)

【ネタバレ】テンペスト解説(4)

ドラマ第3回「神の追放」が終わりましたが、早くも高岡早紀演じる聞得大君が失脚!早々に表舞台から退場するというジェットコースターな展開ですね(笑)まあ聞得大君改め真牛の本領はここから発揮されるわけですが…

さて第3回で登場した各シーンのマニアックな歴史解説です。

ポイント1:琉球ではキリスト教は禁止だったのか

ドラマでは聞得大君がキリシタンの嫌疑をかけられ、その地位を剥奪されてしまいます。孫寧温の陰謀に見事かかってしまったわけですが(笑)、そもそも琉球ではキリスト教についてどのような扱いだったのでしょうか。琉球は1609年、薩摩島津軍によって征服され、以降、徳川の幕藩制国家のもとに組み込まれます。江戸時代当時、日本ではキリスト教は厳禁で、信者は死罪にもなる大きな罪となっていました。薩摩藩はこの江戸時代の国策であるキリスト教禁止を琉球にも適用したのです。

当初琉球ではキリスト教に対して特に禁止もしていませんでした。1624年、フィリピンから来た宣教師ルエダ神父が八重山に潜入して捕らえられますが、神父と接触した石垣永将は信者の嫌疑をかけられ、薩摩藩の指令で火あぶりの刑に処せられました(八重山キリシタン事件)。琉球は海外から日本へ潜入する宣教師たちの中継地となるとして、厳格な禁令が実施されたのです。さらに1633年には薩摩藩の指示により琉球全土で宗門改めも行われました。そうした事情が「テンペスト」の中でも反映されているというわけです。

ポイント2:聞得大君に金を貸した海運業者とは

聞得大君は民間の海運業者から資金調達を行ってしましたが、そんな裕福な人たちが当時の琉球の民間人にいたのでしょうか。

実はいたんです。この海運業者もちゃんと実際の時代状況を反映しています(これは原作がそうなんですが)。18世紀頃になると琉球国内の各離島間で海上交通が活発になっていきます。その担い手だったのが民間の海運業者です。彼らはマーラン(馬艦)船という中国式のジャンク船を使って、王府の年貢運送の請負いを行っていきます。離島に年貢を取りに行く際に、船を空にして行く理由はありません。海運業者は行きは沖縄本島の物品(泡盛や生活雑貨など)を満載して離島で売りさばき、船が空になると今度は離島の年貢を船に積み込み、本島へ運んで運送代をもらうという二重においしい商売をしたのです。

海運業のオーナーは港町だった那覇の民間人や士族層が主でしたが、実際に船を操っていたのは久高島や浜比嘉島などの離島出身者でした。この海運業は莫大な利益を生み、財政難となった琉球王府にしばしば献金を行っています。王府はその見返りとして献金者を新参の士族として取立てました。彼らは「コーイザムレー(買い侍)」とも呼ばれましたが、士族になるための金額は現在の価値で1億円以上。それだけのお金を払えるぐらい、彼らはボロ儲けをしていたわけです。

ポイント3:海運業者はなぜ聞得大君に祈ってもらったのか

また海運業者が聞得大君に自分たちの弁財天を祈ってもらっているシーンがありましたが、これも理由があります。海運業は常に海上での遭難と隣り合わせでした。当時の船は木造帆船。風向きや天候次第であらぬ方向に行ってしまいます。海運業は成功すれば大きな利益を得られますが、天気予報もない時代には非常に危険なリスクをともなっていたのです。

そこで海運業者たちは航海の安全を神々に祈っていました。有名なのは天妃。中国の女神で航海安全にご利益があるとされ、琉球の貿易船には必ずその像が載せられました。そのほかには菩薩なども信仰の対象となりましたが、実は聞得大君をはじめとした神女たちも航海安全を祈願していて、とくに聞得大君は航海の神そのものとも考えられていたのです。なので聞得大君に祈ってもらえるということは、海運業者にとってはとてもありがたいことであったわけです。

※史実の航海信仰については【こちら】と【こちら

ポイント4:「銭蔵」とはどんなとこ?

多嘉良のおじさん(藤木勇人)がスイカに阿片が仕込まれているのを見つけた場所が銭蔵(銭御蔵)。ここは王府の管理する泡盛が貯蔵されていた施設でした。泡盛のほかに官銭の収納も行っていたといいます。王府の泡盛は古酒(クース)もあり、数百年も熟成されたものもあったようですが、現在では失われてしまいました。

ところで儀間親雲上が書き物をしているシーンで、背景の壁に大福帳のようなものがたくさん掛けられているのは気づかれましたか?あれは創作なのですが、泡盛を管理する帳簿として登場させました。残念ながら銭蔵でどのような文書があったのはかは具体的にはわかっていませんが、シーンで登場した架空の文書の表紙は「琉球王国評定所文書」を参考に作成しました。

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本来は「泡盛代付帳」という名称で登場させる予定でしたが、演出のほうで「泡盛」としたほうがわかりやすいから、ということで変更になったのでしょう。当時の琉球では泡盛のことを単に「サキ(酒)」と呼んでいて、「泡盛」は本土で出回っているものが呼ばれた、いわば対外的な名称でした。ただ今回では視聴者にわかりやすいように、ということであえて「泡盛」という名称を採用しています。

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2011年7月28日 (木)

琉球王国の秘密、再放送!

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テンペスト関連の特番「琉球王国の秘密~ドラマ“テンペスト”の世界~」、大変好評だったようです。全国のみなさんに知られざるもう一つの沖縄の顔をご紹介することができたかと思います。

そして!好評につき沖縄限定で再放送が決定!

再放送は7月31日(日)15:05~15:55、NHK総合(沖縄のみ)

琉球王国末期の王宮を舞台に、美貌と才能を併せ持つ女性が、性を偽って政府の役人になり、人を愛し琉球を愛し懸命に生きる姿を描く「テンペスト」。その放送開始に合わせ、ドラマの舞台・琉球王国の秘密に迫る。激動の時代をどう生き抜き、独立を維持したのか。仲間由紀恵さん演じる主人公も翻弄される王宮の陰の宗教権力の実態とは? そして独自の文化が生み出した美の世界も徹底解剖。ドラマがより楽しく深く見られる歴史紀行。

出演:山田優、上里隆史、白鳥哲也

前回の放送見逃した方、これを機会にぜひご覧ください!

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2011年7月27日 (水)

テンペスト用語解説(2)

あがま …御内原の女官見習い。首里周辺の農村から選抜され、御内原での雑用のほか大台所での調理を担当した。あがまの上には「あねべ」がいる。

大勢頭部(おおせどべ) …ウフシドゥビ。御内原の女官長で本来は3人いる(ドラマでは1人のみ登場)。国王にもっとも近侍し、国王への奏上や伝達、国王身辺のことをつかさどる。三司官と同等の位として扱われ、男性官人からは畏怖されていたという。

火の神 …ヒヌカン。沖縄で一般的な台所に祀られる神。3つの自然石を並べたものを祀るが、これはナベなどを置くカマドがもとになっている。現在では香炉のみを象徴として置く場合が多い。

ミセゼル …沖縄の古謡。神託。神がかりをしたノロによって唱えられる。1522年建立の「真珠湊碑文」に真玉橋の完成を記念して聞得大君らが謡ったミセゼルが記されている。

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2011年7月24日 (日)

【ネタバレ】テンペスト解説(3)

ドラマ、第2回目もあい変らず飛ばしていますね。高岡早紀演じる聞得大君が大変いい味を出していると思います。仲間由紀恵演じる孫寧温はどうなってしまうのでしょうか。さて第2回目で登場した各シーンの「なにこれ?」をマニアック解説です。【ネタバレあり】なのでご注意。

疑問1:御内原とはどんなところ?また男が入ってはいけない?

御内原(うーちばら、おうちばる)は首里城の大奥に当たる区画です。王妃や側室、女官たちが住む「女の世界」。当然ながら男性は国王以外立ち入ってはいけません。

女官たちは女官長の「大勢頭部(おおせどべ)」3人を頂点に編成されていて、女官は王妃らを取り巻く良家の婦女からなる「御側御奉公(ウスバグフークー)」と、農村から選抜された「城人(グスクンチュ)」というグループに分かれていました。この首里城御内原の女官組織は、聞得大君率いる神女組織とは別の組織です。ヒラの女官は「あねべ」といい、さらに見習い女官は「あがま」と言います。二階堂ふみさん演じる思戸はこの「あがま」ですね。

しかしながら、女性の霊的信仰があった琉球では女官たちの力も小さくありませんでした。女官長の大勢頭部は男性の役職の頂点である三司官と同等のクラスであったといいます。女性だからと言って、男性の役人から低くみられていなかったのです。

ドラマでは王妃の弟の普請総奉行が御内原に潜入し、聞得大君を陥れるために火の神の香炉を割っていましたが、男性が御内原入った場合、一世流刑(いっせい・るけい)、つまり終身の流刑になります。

※史実の御内原女官に関する記事は【こちら

疑問2:聞得大君が斎場御嶽で謡っていた雨乞いの歌は何?

あの歌は雨乞いの儀式で実際に謡われた祈りの歌です。

龍王がなし雨たばうれ 雨降て五穀やしなやうれ 雨たばうれ 龍王がなし

龍王がなし雨たばうれ 雨降てぼさつやしなやうれ かみしも揃て 願やべら

「聞得大君御殿之御願公事帳」という古文書に記されていた歌で、この文書はすでに現存しませんが、戦前の学者・伊波普猷が『古琉球の政治』のなかで引用しています。

実際の儀式は首里城御庭で行われ、水桶に入った水を、竹の葉を束ねたもので、上級神女たちが聞得大君や参列する神女、官人たちにかけながら、皆で神歌を3度繰り返して謡ったそうです。ドラマのシーンはこの儀式をアレンジして斎場御嶽で行っているようです。この考証は僕は直接関わっていませんが、神事指導、神歌指導の先生方によるものでしょうね。

疑問3:主人公寧温の兄、孫嗣勇(金子昇)が拷問を受けていたけど、あれは創作?

いいえ、あの拷問は王国時代に実際にあった拷問です。戦前の学者・真境名安興が『沖縄一千年史』で紹介した拷問の図をもとにしています。両脚のスネの上と下に2枚の板をはさんでその板をしばり、スネを上下するという拷問です。他には指と指の間に四角の木の棒をはさみ、指を縄で縛る方法や、水責めなどがありました。百数十年ぶりに再現された琉球の拷問でしたが、おそらく気づいた方は少ないでしょう(笑)

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2011年7月20日 (水)

【ネタバレ】テンペスト解説(2)

さてドラマ第1回で登場した各シーンの「なんだこれ?」をいくつか解説していきます。ストーリーとはあまり関係のない超マニアックな解説ですが、【ネタバレあり】なので、まだ観てない方は注意です。

疑問1:聞得大君が御殿で祈っていた阿修羅のような神様は何?

あれは弁財天です。つまり七福神の一人の女性の神、弁天さまですね。弁財天は聞得大君の祭神で、御殿の祭壇には弁財天の掛け軸が祭ってありました。全然そう見えない!と思う方もいらっしゃると思いますが、実は琉球の弁財天は本土で一般的なおだやかな女性の姿をしていませんでした。琉球では6本の腕で、太陽と月を手に持っているという異形の神でした。これは日本本土の宇賀弁財天の系譜を引くもので、琉球の場合は荒神と習合し、悪の心を抱く者を罰するコワーイ神様でした。今回の弁財天はこの事実をもとに再現しています。高岡早紀の役にピッタリの神様かもしれませんね(笑)

詳しく知りたい方は、次の論文を読んでください。
参考文献:真喜志瑤子「史料にみる琉球の弁財天信仰」(『南島史学』42号、1993)

疑問2:門番の多嘉良や警察の平等所の役人がしていた変なタスキ掛けみたいなのは何?

あれはタスキ掛けではありません。「袖結い」という着物を活動しやすいようにした琉球独特の方法です。本来は着物の両袖を後ろに回し、後ろでその両袖を結んで、袖が腕を動かすのにジャマにならないようにします。もしくは着物の後ろに1本のヒモを通し、それを後ろ側で結ぶ方法もあります。以前放送された大河ドラマ「琉球の風」では普通に本土風のタスキ掛けでしたが、今回は本来の袖結いの採用になりました。ただ結ぶのに用意した衣装の袖の長さが足りなかったということで、「那覇綱引図」に出てくるヒモで袖を結ぶ方式を採用しています。本当はその下から上下2つのパーツに分かれる下着を付けたほうがよかったのですが、まあそれは次の課題ということで…

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実際の袖結いを見たい方は、次の絵図などを参照してください。
参考文献:「冊封使行列図」(沖縄県立博物館・美術館蔵)、「那覇綱引図」(鎌倉芳太郎『沖縄文化の遺宝』岩波書店、1982)

疑問3:科試の合格発表があった会場で、合格発表をした役人の後ろにあった額は何?

あれは実際にあったもので、国学(琉球の最高学府)に掛けられていた「海邦養秀(かいほうようしゅう)」という額です。「海の邦(琉球)の優秀な人材を養成する」ぐらいの意味ですが、1801年、首里城龍潭のほとりに国学が設置された際、若き国王の尚温が自ら筆をとり書いたものです。ちなみに国学は現在の沖縄県立芸術大学の敷地にあって、今でも石垣の一部が残っています(こちら参照)。そして首里高校に再現された額があります。実は僕は首里高校出身ですが、在学中は体育館に掛けられていました。はたして今はどうなっているのでしょうか…

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2011年7月19日 (火)

テンペスト用語解説(1)

テンペストで出てくる用語は本土の方にとってはあまり馴染みのないものだと思います。そこでドラマ各回で登場した、音だけで聞いても難しい言葉を簡単に解説していきたいと思います。

科試(こうし) …琉球王国の官僚登用試験(具体的には文筆科の試験)。最高倍率600倍という超難関。試験は初科(しょこう)・再科(さいこう)の2回に分かれる。問題は論述方式で、儒教をもとにした道徳問題、即戦力としての能力を求めた行政の実践的な問題。合格すれば王府の評定所筆者(今でいう内閣官房の秘書官)に採用される出世コースであった。

三司官(さんしかん) …琉球王府の三人制の大臣。親方(うぇーかた)というランクの者が就き、王族以外では最高の地位であった。国政をあずかる実質的な責任者であった。高級官僚たちの選挙で選ばれた。

冊封(さっぽう) …「さくほう」ともいう。中国の王朝(明・清)が中華思想にもとづいて、周辺諸国のリーダーたちを「王」などとして承認すること。

ペーチン(親雲上) …士族のランクの名称。中堅クラス。冠(ハチマチ)は黄色。「喜舎場+親雲上(ぺーちん)」「山城+親雲上」などと呼ぶ。本当はさらに細かく分かれるが省略。

首里天加那志(しゅりてん・がなし) …琉球国王のこと。首里天とは国王と同義語で、加那志とは敬称で「~様」というような意味。なので首里天加那志は「国王陛下」ぐらいの意味になる。

御物奉行(おものぶぎょう) …琉球王府の高級官僚。奉行は3人。三司官に直属し、主に財政関係の仕事を担当する。今でいえば財務大臣にような立場か。

ノロ …琉球の女性神官。神女。国王より任命される、いわば「公務員」。世襲制で女性の血筋で継承していった。琉球各地の村々に設置され、国家繁栄や五穀豊穣、航海安全を祈った。ノロたちはピラミッド状に編成され、頂点の神女は聞得大君(きこえおおきみ)といい、王族の女性より選ばれた。基本的に個人的な人生相談や霊視などはしない(次のユタも参照)。

ユタ …霊媒師。ノロとはちがい在野で活動する。世襲ではなく個人的な能力に目覚めた者がなる。なのでとくに資格はなく、基本的に「自称」でよい。主に女性。王府権力は彼女らを迷信により世を乱すとしてしばしば弾圧した。現在でも沖縄には多数のユタが存在し、悩める人々の霊視による人生相談を生業としている。

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2011年7月17日 (日)

【ネタバレ】テンペスト解説(1)

ついにNHK・BSプレミアムで琉球王朝を舞台にした「テンペスト」が始まりました!とてもエキサイティングなドラマ展開で今後も非常に楽しみですが、視聴者のみなさんは江戸時代の時代劇とはちがい、琉球史のほとんど馴染みのない言葉や文化、制度にとまどうかもしれません。そこで、時代考証に関わった僕が、これから毎回のドラマに登場するシーンの歴史解説、用語の説明などをしたいと思います。沖縄の歴史に詳しい方でしたら「何をいまさら」な話になるかもしれませんが、ドラマを楽しむための入門編ということで、そこはご容赦ください。

なお、【ネタバレあり】なので、まだ観てない方は注意してくださいね。

まず今回のドラマは原作と若干の変更点があります。

(1)琉球の国政をつかさどる三司官(3人制の大臣)の名前、向親方・毛親方・馬親方を、それぞれ宜野湾親方(名高達男)、座喜味親方(上田耕一)、与那原親方(江原真二郎)に名前を変更しました。琉球王国時代、士族には日本風と中国風の名前が二つありましたが、原作のように中国名+親方(ランクの名前)のようには通常呼びません。実際の呼び方により近いかたちにしようということで、それぞれの氏に馴染みのある領地名を参考にして付けました。ちなみにこの方々は実在の人物ではありません。

(2)王国の警察機構は原作では大与座(おおくみざ)、裁判機構が平等所(ひらじょ)という役所でしたが、大与座は実際には戸籍と財産調停、キリシタン改めなどを行うところで、警察と裁判機構を兼ね備えたのは平等所でした。ドラマで大与座、平等所両方を出した場合、視聴者を混乱させてしまうとの理由もあり、より史実に近いかたちで平等所だけで警察・裁判機構を担当させています。

(3)今回、原作には存在しない役、オバア(平良とみ)を登場させています。これは脚本家の大森寿美男さんによるものです。ひとりぼっちの主人公の孫寧温の心の支えとなる役で、今後も重要な役割になりますので、注目していてください。

ほかにも細かいところが変更になっていますが、それは追々お伝えしたいと思います。

全体としては原作を骨格にしていますが、膨大な量の原作を10話に圧縮しなくてはならず、そこは脚本家の大森さんの腕の見せ所ですね。圧縮した分、めまぐるしいストーリー展開が、さらにジェットコースターなみのスピードになったのではないでしょうか。

ドラマに出てくる「なにこれ?」な琉球歴史の疑問は次回から解説しますね。

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2011年7月15日 (金)

ドラマ「テンペスト」もうすぐ!

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7月17日、ついにNHK・BSプレミアムで琉球王朝を舞台にした「テンペスト」が始まります!

テンペスト・第1回放送】7月17日(日)18:45~19:58(NHK・BSプレミアム)
再放送】7月23日(土)11:00~12:13(NHK・BSプレミアム)
地上波放送】7月23日(土)19:30~20:43(NHK総合)

※くわしくは番組HP【こちら】で。

僕も時代考証として少しだけ関わらせていただきましたが、とても良い経験になりました。衣食住、制度、言葉、風習など琉球史(とくに近世史)のあらゆる分野からドラマに必要な情報を調べ、制作スタッフにアドバイスをするという仕事は大変でした。もちろん僕一人だけではなく、高良倉吉先生をはじめその他の先生方の力がなければ考証はできなかったと思います。

そして!テンペストの放送に関連して、琉球史の特別番組が全国放送されます。出演はワタクシ上里、そしてモデル・女優の山田優さんです!

琉球王国の秘密~ドラマ“テンペスト”の世界~】7月18日(月・祝)13:05~13:54(NHK総合)

※BS時代劇「テンペスト」の舞台、琉球王国の秘密に迫る。日中の間をどう生き抜き独立を維持したのか。女性が握る影の権力とは?更に独自の文化が育んだ美の世界を徹底解剖。

※詳しくは【こちら

山田優さんはかつて首里にある中学校に通っていました。いわば首里城周辺は地元。彼女とNHKアナウンサーの白鳥哲也さんと一緒に首里城をめぐり、琉球の歴史のヒミツに迫っていきます。山田さんはとっても気さくで楽しく撮影できました!収録後は東京へ帰る前に「ゆしどうふソバ」の店を探していましたが、はたして食べることができたのでしょうか…(笑)

ドラマ放送に合わせ、このブログも通常の週1ペースではなく、週2、3回記事更新の、テンペストに関連した特別バージョンでお送りしようと思います。時代考証の担当者だからこそわかる、裏話や解説を皆さんにコッソリここだけでお教えしますよ。どうぞお楽しみに!

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2011年7月 9日 (土)

たらー英語を習う

戦前の新聞「琉球新報」の投書欄「読者倶楽部」に、こんな投稿がありました(若干、現代風に改変しています)。

太郎君は今度、中学第一年生です。昨日、和田のスーメー(おやじさん)から「マザー(母)」という英語を習った。家に帰るとさっそく、

マーザーやーさぬ

と靴も取らぬ前に言いました。

洋服を洗濯しておった母が、くわっと怒ったの怒らぬの、棒のきれはしを持って

「こやつは辛苦して小学校などに入れれば、まあ親をあざむく馬鹿もあるか!」

と太い目をしています。

なるほど、母は「マージャ(方言でアバタのこと)」でありましたわい。

(ペンネーム:白川子の投稿)

参考文献:「琉球新報」1911年(明治44)7月4日

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2011年7月 7日 (木)

『歴史群像』琉球特集!

歴史雑誌の『歴史群像』2011年8月号(学研)で、ついに琉球の歴史特集が登場です!

17世紀東アジアの国際戦争
【島津軍 琉球侵攻】

豊臣秀吉の朝鮮出兵以降、緊迫する東アジア情勢のなかで、懸命に生き残りを図る東シナ海の独立国・琉球王国。戦国乱世を戦い抜いた島津軍に対して琉球はいかに戦い、いかに敗れたのか。琉球と薩摩の知られざる「全面戦争」の経過を追う!

執筆はワタクシが担当しました!コンパクトにまとまり、図解も豊富でわかりやすい解説となっています。今回の大きな目玉は、古琉球兵士をイラストで完全再現したことです!考証は発掘の出土品や文献史料をもとにワタクシが行いました。おそらくここまで忠実な再現は初めてだと思います。

あわせて今帰仁グスクの再現イラストなども考証!最新の調査成果も加味しています。

『歴史群像』は全国の書店で発売中です。みなさまぜひお読みください!

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2011年7月 2日 (土)

琉球ガセ情報に反論

ネットにより極度に発達した現代の情報化社会ですが、便利になったと同時に根拠のないデマやガセ情報もまた瞬時に伝わり、混乱に拍車をかけることが問題になっていますね(たとえばこちらとかビックリしました)。一方、前近代の時代は遠い外国の様子を知るのはきわめて困難で、いくつものガセ情報が出回り、それを確認する術がない時代でもありました。

1462年(第一尚氏の尚徳王の時代)、朝鮮へ向かった琉球使節の普須古(ふすこ。うふぐすくか)らは朝鮮側の役人・李継孫と会話しますが、李は琉球に関する書物をもとに、普須古らに中国語の通訳を介して質問を浴びせます(『朝鮮世祖実録』)。李の読んでいた書物は1317年に中国で編集された『文献通考』で、琉球に関する誤った情報だらけの内容でした(『隋書』の「流求国」の記述が元ネタ)。そのやりとりを紹介します。現代語訳にあたり、読みやすいように若干、意訳してあります。

****************

朝鮮・李継孫「男女の服やかぶりものはどうなっているの?」

琉球・普須古「男は色彩豊かできらびやかな服を着ているよ。私が連れているお供の服をみればわかるでしょ。冠は朝鮮のお坊さんのかぶる竹笠のような感じ。女は上下のパーツに分かれた服で、中国の女性服のようかな。ただ色とりどりの服にくわえて、(着物を?)頭にかぶって垂らし、かぶりものは男のする笠のようでやや大きいかな」

「(『文献通考』で)昔の人が言ってるけど、琉球の男は鳥の羽を冠にして、タカラ貝をアクセサリーにして、赤毛で飾ってるんだって?女は薄絹の綾模様の白い布を帽子にして、いろんな鳥の羽で服をつくってるってあるけど。どうしてあなたの言うこととちがうの?」

普須古「昔の人のことは知らないよ。今はちがうんだよ」

「武器とか武具はどうなってるの?」

普須古「かたちは日本のものと同じだよ」

「(『文献通考』で)昔の人が言ってるけど、琉球は鉄が少なくて刀は動物の骨とか角で作ってて、麻布を編んで鎧(よろい)を作って、熊や豹の皮を使うってあるけど」

普須古「わが国に鉄は多いし、熊や豹もいないよ。それガセだから」

「戦いとかどうなってるの」

普須古「わが国は死を軽んじることを尊いものとしているよ(それぐらい勇猛)。進むを知って退くことを知らない。戦って負けることはないよ」

「(『文献通考』で)昔の人が言ってるけど、人々がお互いに戦って、もし勝つことができなければ人を派遣して謝罪と和解をして、戦死した者を回収して、みんなで集まって死者を食べるってあるけど」

普須古「ちがうって!昔も今もこの世の中で、人が共食いすることがあるわけないでしょ!それにどうして負けて謝罪することがあるの(さっき戦って負けることはないって言ったのに)」

「刑罰とかどうなってるの」

普須古「法律は中国の法律を参考にしてるよ。ただ泥棒は即刻死刑で許さない。だから道にモノが落ちていても誰も拾わない」

「(『文献通考』で)昔の人が言ってるけど、監獄では手錠や枷(かせ)はなくて、(死刑は)鉄のキリでうなじから首を突き刺して殺すってあるけど」

普須古「なんでそんな残酷な処刑をするわけ?それガセだから」

・・・こんな感じでやりとりは延々と続きます。この続きはまた別の機会に。

参考文献:池谷望子・内田晶子・高瀬恭子編『朝鮮王朝実録 琉球史料集成』

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2011年7月 1日 (金)

テンペスト祭り!

7月17日からNHKのBSプレミアムで放送されるドラマ「テンペスト」、いろいろ話題になってきているようです。

そして!7月18日にはNHK沖縄の主催する「今日は1日テンペスト祭り! in てんぶす那覇」が行われます!

場所は那覇国際通り沿いの「てんぶす那覇」です。

ゲストはドラマに出演した孫嗣勇役(主人公・寧温の兄)の金子昇さんや、沖縄県出身の女優、二階堂ふみさん!

そして、どういうわけか僕も一緒に出ることに・・・(汗)何を話していいかわかりませんが、とりあえず頑張ります!

参加ご希望の方は、無料ですが事前申し込みが必要です。当日のイベントはラジオでも放送されます。放送はNHKラジオ第一で、18日の18時5分から全国放送です。

くわしくは【こちら】をどうぞ。

締切は7月7日までです。皆様どしどしご応募ください!

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