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2011年6月28日 (火)

蔡温のコトバ!

少し遅れましたが、琉球史関係の面白い本が出ましたのでお知らせします。

その本の名は・・・『蔡温の言葉 琉球宰相が残した物語り』!

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琉球の歴史上、もっとも偉大といわれる政治家の蔡温が残した言葉を現代語訳(超訳)して紹介した内容となっています。著者は佐藤亮さん。日本近代史を専攻された方ですが、沖縄にハマり蔡温に魅せられ、追求してついに本まで出してしまった方です。

本では蔡温の自伝をはじめ彼の生涯もくわしく解説しています。蔡温の人柄と政治に賭ける熱意を感じることができる一冊ですが、彼の言葉は政治だけではなく、現代の我々に有益なメッセージも残しています。

真の宝は、君自身だ。なぜ自分を磨かないのか。

またこのような言葉も。

勤勉な者は、日を惜しんで努力し、怠ることがない。怠惰な者は、しばしば努力を怠り、明日がある、明日がある、と言い訳する。なぜ日を惜しんで努力しないのか。ああ。歳月は急流のごとしだ。若者もすぐ白髪の老人になる。老いてから後悔しても遅いのだ。

300年も前から「明日から本気出す」というニートな若者に苦言を呈していたのです(笑)

この本の書評が26日に「琉球新報」に掲載されたようです(こちら)。

お求めはボーダーインクのサイトから送料無料で購入できます(こちら)。みなさま、ぜひ読んでみてください!

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2011年6月25日 (土)

100年前の美人総選挙(3)

沖縄初の美人投票、1912年(明治45)2月29日に締め切られ、ついに結果は判明しますが、投票総数はなんと、

驚きの22万4069票!!

1910年(明治43)における沖縄の全人口が53万人ですから、実にその半数近くにあたる投票があったということになります。このしかけは投票が1人1票に限らない、ということです。日本酒を売る高鳥十八番は新報社とタイアップして日本酒「富久娘」5升に投票用紙20枚、1斗に50枚をオマケにつけ、また琉球新報300部を購入した者に「富久娘」1升をプレゼント、同じくマル求雑貨店もハミガキ1個購入につき琉球新報(投票用紙付)を1部進呈、また琉球新報50部を購入につきハミガキ1個進呈というキャンペーンを実施します。票が1人につき何十枚、何百枚と動いていたわけです。

それでは美人投票の結果発表!

1位は山桝木という店にいるカメさん8万4408票!2位の栄江小のオトさん6万5693票をひき離し栄冠を勝ち取ります!先ごろ行われたAKB総選挙の1位・前田敦子の得票が13万9892票ですから、この得票数は尋常ではありません。当時の沖縄ではカメさんの美貌が絶大な支持を得ていたことがわかります。

こうして美人投票1位の座はカメさんに手にころがりこもうとしていました。ところが・・・カメさんは1位の辞退を申し出ます!なんとカメさんは2月28日に遊郭で働く免許(鑑札)を得ており、それ以前は美人投票の資格のない一般女性に該当していたのです。今回対象の女性は県内各料理店の芸者や舞妓、仲居、酌婦や辻のジュリ(遊女)に限定されていました。つまり今風にいえば、彼女はAKB48としてメディアに登場していながら芸能事務所に正式に所属していなかったので、総選挙に参加する資格がなかったということです。

なんということでしょう(劇的ビフォアーアフター風)。このため、彼女は免許を受ける27日以前に投票された分をすべて無効にしてほしい、中間投票の結果で得た賞品も返納すると申し出たのです。

こうして最終的な順位は次のようになりました。

1位 栄江小のオト 6万5693票
2位 山桝木のカメ 3万3209票
3位 新屋様のカマド 2万7429票
4位 中道山桝木のカマダ小 7476票
5位 風月楼の三吉 5942票
6位 糸満町白銀楼のウシ 4944票
7位 常盤楼の小浪 3532票
8位 端通染屋小のオト 2275票
9位 天使館銀行染屋小のマカテ 1664票
10位 バンジョーガネ小路染屋小のウサ小 1430票

カメの27日以前の得票は無効で2位に下がり、中間賞品は寄贈者の承諾を得てそのままカメのものになり、代わりに同じ内容の賞品を1位のオトへ、2位賞品は新屋様のカマドへ、3位賞品は中道山桝木のカマダ小に送られることとなります。

今回投票された女性は208人でしたが、その内訳をみると本土出身者が32名、地方の料理屋が10人、辻の遊郭が166人と、出身にかかわらず県内在住の女性が対象となっていました。那覇だけでなく、地方からは糸満の女性ウシさんが6位に入賞しています。そのほか、金武や羽地、本部、宮古・八重山の女性にも投票されたということです。

こうして沖縄史上初の美人総選挙は波乱のうちに幕を閉じました。このイベントは大成功だったといえます。一番儲けたのは主催の琉球新報社でしょう。投票総数が22万4069票ということは、単純計算でいくと新聞が約2ヶ月のうちに22万部あまりの驚異的な売り上げを叩き出したということです。他のタイアップ商品のオマケにも投票用紙は付いてきたので、実際の売上はもっと少ないでしょうが、相当の利益になったのは確かでしょう。

この美人総選挙については戦前の沖縄の歴史でまったくと言っていいほど語られない「黒歴史」になっていますが、僕はこのイベントが琉球新報社や県内企業に与えた経済的影響は小さくなかったと思います。戦前沖縄を代表する新聞・琉球新報社の歴史を、言論やジャーナリズムの視点からではなく、「経営」という視点で分析してみる必要もあるのかもしれません。

さて美人総選挙という熱狂が過ぎ去ると、みなマブイ(魂)が抜けたような空虚な気持ちになったようです。

美人投票がすんで大風が止んだ後のように世間が急にさびしくなったようだ。何か事があれかし(ペンネーム:白眼生)

おそらく、この美人総選挙は戦前の沖縄のなかで人々がもっとも夢中になり、燃え上がった最大のイベントだったと思います。

【追記】『琉球新報百年史』38ページに当初1位だったカメさんの写真が掲載されています。見た感じ、「クールビューティー」という印象です(笑)

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2011年6月18日 (土)

100年前の美人総選挙(2)

沖縄史上初めての美人投票イベントに県内の人々は大盛り上がり!主催の新報社は、「美人投票については読者諸君の大々的ご賛成により非常であります。投票を始めて依頼、毎日たくさんの投票があって、きわめて盛んなものであります」とその好評ぶりを伝えています。

新聞投書では読者からこういう意見が寄せられます。

「今回の美人投票募集は、天下唯一無二の壮絶・快絶の新案であります。」

「琉球新報の美人投票、なかなかに奇抜な催しです。」

また女性読者からはこういう意見も。

今回の美人投票の募集はなかなか奇抜で、ことにワラワどもにとっては双手をあげて賛成しておるのでござります。ところが右の投票については、おおかた読者諸君に向かってご注意を申し上げておきたいことがあります。すなわち、ワラワどもの希望は、美人の標準はぜひ衛生的に十分に詮議していただきたいの。

ある昔の東洋流の美人ならいざ知らず、鼻・目・口・耳さえ立派であればそれでスッカリ美人の資格がそなわっているという考えでいたが、当世流の美人はそんなお安いものではなありませぬ。鼻・目・口・耳の詮議も、もとより必要条件でありますが、体格はぜひ甲種となるくらいのものでなければダメだと思います。

ワラワも美人投票については自惚れかもしれませぬが、五番とは下がらないと自認しておりますから、読者諸君、必ず右の標準を誤らぬよう切にお願いいたします。
(ペンネーム:後道の衛生的美人某)

県内美人5位以内を自負する女性から、新時代の美人基準で選ぶようにとの主張です。要するに自分に投票せよ、ということなのでしょうか(笑)

さらに、沖縄県内の各企業や個人から次々と協賛の名乗りが挙がり、賞品の寄付が次々と寄せられます。その賞品の主な内訳は次の通りです。

【1位の副賞】
・文庫1個(朱塗り堆錦模様入り) ・・・浅田漆器店より
・洋傘1本(曙色・西陣琥珀墨*蔦模様の織り出し) ・・・二富士洋傘店
・紺地絣布1反 ・・・某氏
・羽二重入り風呂敷1枚 ・・・清水雑貨店
・アサヒビール4ダース入り1箱 ・・・平尾本店
・呉服券10円券1枚 ・・・某氏
・呉服券1円券5枚 ・・・藤井呉服店
・呉服券3円券1枚 ・・・某氏
・大鏡1個 ・・・某氏
・日本酒「富久娘」1樽 ・・・高鳥十八番
・写真券(引き伸ばし10円分)1枚 ・・・吉村写真館
・写真券(半切引き延ばし6円分)1枚 ・・・久志写真館
・芭蕉飴・芭蕉せんべい半ダースずつ ・・・与儀菓子店
・金鶴香水1ダース ・・・高嶺商店化粧品部
・名人画帖1冊 ・・・某氏

【2位の副賞】
・化粧品入箱(朱塗り堆錦模様入り) ・・・浅田漆器店
・洋傘1本(純白西陣博多織り) ・・・二富士洋傘店
・三ツ輪石鹸1ダース ・・・清水雑貨店
・アサヒビール1ダース入り2箱 ・・・平尾本店
・呉服券6円分1枚 ・・・某氏
・呉服券1円券4枚 ・・・藤井呉服店
・呉服券2円券1枚 ・・・某氏
・縮緬ふくさ1枚 ・・・某氏
・写真券(半切引き伸ばし6円分) ・・・吉村写真館
・芭蕉飴・芭蕉せんべい半ダースずつ ・・・与儀菓子店
・御園白粉1ダース ・・・高嶺商店化粧品部

【3位の副賞】
・小道具入れ1個 ・・・浅田漆器店
・洋傘1本(錆草色千紅織り) ・・・二富士洋傘店
・白合洗粉大瓶2ダース ・・・清水雑貨店
・アサヒビール1ダース ・・・平尾本店
・呉服券4円分3枚 ・・・藤井呉服店
・呉服券1円券3枚 ・・・某氏
・呉服券2円券1枚 ・・・某氏
・縮緬ふくさ1枚 ・・・某氏
・写真券(引き伸ばし10円分)1枚 ・・・吉村写真館
・写真券(半切引き伸ばし6円分)1枚 ・・・久志写真館
・芭蕉飴・芭蕉せんべい半ダースずつ ・・・与儀菓子店
・美人はみがき1ダース ・・・高嶺商店

(以下、20位まで副賞が続く)

投票は1月17日に開始され2月29日の締切まで行われましたが、その間、新聞紙上では中間結果が毎日公表され、これにあわせて県内各企業は負けじと協賛していきます。企業にとっては自分たちの絶好の宣伝の場にもなったのです。

こうして美人投票は多くの県民の関心事となり、大盛り上がりを見せました。そしていよいよ、投票が締め切られ、その結果が発表されることになります。栄冠に輝くのはいったい誰なのでしょうか・・・

(つづく)

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2011年6月15日 (水)

新刊!目からウロコ文庫化!

沖縄でベストセラーとなった歴史本『目からウロコの琉球・沖縄史』、文庫化されてついに全国デビューです!

その名も・・・

島人(しまんちゅ)もびっくりオモシロ琉球・沖縄史』!

なんと角川学芸出版から発売です!

『目からウロコ~』は基本的に沖縄限定発売なので、本土ではほとんど流通せず、アマゾンなどでも取り扱いが少なかったのですが、これからは全国のみなさんが気軽にお求めになることができます!

ぜひ書店で手にとってみてくださいね。

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2011年6月10日 (金)

100年前の美人総選挙(1)

アイドルの人気投票、AKB総選挙が話題となっています。ファンの間では投票券の付くCDを5000枚近く購入したヲタもいたほど熱狂の様子ですが、実は100年前の沖縄でも、これに似たような「美人総選挙」が行われたことがあります。

「美人投票」が告知されたのは1912年(明治45)1月15日、沖縄の新聞「琉球新報」紙上にて。

「いつも上下ばかりつけていては肩がこってたまらないから、時々はくだけたことをやってくれ」と三面(記事)係の請求・・・やるならいっそ飛び離れたことをしてはどうだとあって、もとより突飛な連中、右からも左からも美人投票を唱え出し、ついにこれに一決して、左の規定により県内の美人を募ることにしたから、奮って投票してください。

琉球新報社

と募集を開始したのです。

この投票は新聞内に「美人投票用紙」を付け、この用紙を切り取って投票する方式でした。ここでのポイントは、一人につき一票ではないという点です。新聞をたくさん買って投票用紙を集めれば、一人で何票もの投票が可能なのです。これはまさにAKB総選挙方式です(笑)新聞社の思惑は、新聞を読んでもらうというよりも、この投票用紙目当てに買う人を狙い、売り上げを伸ばすことがあったと考えられます。

この投票に合わせて新報社は各地に新聞の臨時販売所を設け、そこに投票箱も設置します。また「投票紙50枚以上をお求めの方は、前日に新報社か販売所に知らせてください」との告知も。秋元康もビックリです(笑)

なお、選ばれた美人には豪華商品も付きました。

1等賞品
東京三越の18金・笹の透かし彫りダイヤモンド指輪

2等賞品
東京三越の22金・波の透かし彫り真珠指輪

3等賞品
東京三越の20金・菊水肉彫り指輪

投票の対象は沖縄県全体の女性ではなく、県内各料理店の芸者や舞妓、仲居、酌婦や辻のジュリ(遊女)に限る、とあります。いってみれば当時のアイドル的存在の人気投票だったのです。

(つづく)

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