琉球の実践中国語講座
中国との朝貢関係を結んでいた琉球では、福建省の福州に琉球館(柔遠駅)という滞在施設があり、ここに琉球人のスタッフが常駐していました。当然、現地では中国語を話さなくてはなりませんので、言葉を学ぶための中国語のテキストがありました。このテキスト、受験用のものではなく、超実践的!現地で実際に起こる状況を想定しての会話集です。
それでは王国時代の中国語テキスト『学官話』の一部を見てみましょう。
【レッスン1】中国の悪ガキに怒りをブチまけよう
おまえという子は、私があなたをからかってもいないのに、どうして私をののしるのだ。家庭教育もなっていない、このろくでなし!もともと中国は礼儀を重んじる国だと聞いていたのに。お前のこんな行動や話し方を見ていると、私は中国へ勉強しに来たのに、学ぶべきことが何にもないという気になるよ。
(這個小孩子!我又不惹你。你來罵我做什麼。没家教的雑種!原説中國有道理的。看你這樣的行徑。看你這樣的説話。我學也没干了)
【レッスン2】琉球館にたむろするヒマ人を追い出そう
私たちは万里のかなたから海路を旅してようやくここ(福建)へたどりつき、今は琉球館に泊まって番をしています。館内の秩序は整然と保たれるべきで、無用な混乱は避けなければなりません。
でも、現実には定職を持たない大勢の人たちが毎日私たちの琉球館にやって来て、ワイワイガヤガヤと騒いでいます。私たちは彼らの機嫌を損ねることもできず、話すべきこともすべて言い尽くしましたが、彼らはやはり聞いてくれません。まったくなすすべがないのです。そこで老爺にご助力いただくために、こうして参上したというわけです。
どうか入口に布告を掲示して、あの人たちが入って騒がしくできないようにしてください。もしそれが可能でしたら、老爺の私たちに対するこの上もない恩恵となります。大変恐れ入りますが、私たちのこの願いを老爺にご報告いただきたいのです。私たちはここでお待ちしておりますから。
(我們萬里水洋。這海來到這裏。存留看館。館内務必安靜。混雑不得。目下有許多閑雑人等。天天來館内羅唆。我們又不敢得罪他。好話對他説。他又不聽。没奈何來求老爺。發一張告示。掛在館内口。使他們不敢進去羅唆。就是老爺莫大的恩了。求將爺將我這個話。有勞替我進去回一聲。我在這裏候着)
・・・どうやら中国滞在の琉球人は大変だったようですね(笑)
参考文献:瀬戸口律子『学官話全訳・琉球官話課本研究』
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コメント
あはは!!おもしろいです!!(≧∀≦
朝から笑わせてもらいました!!(レッスン1、ワタシも覚えたいな~( ´艸`))
是非、仲嶺さんの実演も見たいものです(^ω^
(今度ラジオでやって下さい(笑))
投稿: 和々 | 2011年1月29日 (土) 09:44
>和々さん
テキストはまだまだ面白い想定問答がありましたよ。
覚えて相手の中国人に話したらビックリするでしょうね(笑)
投稿: とらひこ | 2011年1月30日 (日) 10:44
これ面白い!
投稿: いのうえちず | 2012年5月 8日 (火) 14:31
>いのうえちずさん
まだまだ面白い会話、ありますよ。
これを読んでいると、当時の琉球の人たちの暮らしぶりが本当にリアルに浮かび上がってきます。
投稿: とらひこ | 2012年5月10日 (木) 16:29