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2010年12月11日 (土)

仏にお酒

近世に編さんされた琉球王国の正史『球陽』には、仏教にまつわる面白い話が収録されています。

本国(琉球)の人、仏に酒戒あるを知らず。

琉球の人たちは、仏教では「不飲酒戒」、つまりお酒が禁じられていることを知らず、寺院に参拝する時は常にお酒を仏前に供えて祭礼を行っていたのです。しかもたまに、ではなく「常に」です。琉球ではお酒が仏様へのお供えに必須のものだったわけです。

そこで1728年、琉球王府は初めて仏前に酒を供えることを禁止します。琉球では15世紀初頭ぐらいから仏教(禅宗や真言宗など)が普及してましたから、じつに300年間、琉球の各寺院では日常的にお酒が持ち込まれていたということです。もちろん中世日本でも実質的に飲酒はされていましたが、琉球の場合、ほとんどの人がそもそも仏教の教えに酒が禁じられていること自体を知らなかったようです。

ウチナーンチュは自分たちと同じように仏様もお酒が大好きだと思ったのでしょうか(笑)何だか沖縄らしいエピソードですよね。

参考文献:『球陽』

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コメント

うちの母親は創価学会の信者ですが、亡くなった父親がお酒が好きだったから、酒を持っていって墓石にかけようとするんです。墓石が汚れるし、虫が寄ってくるからやめとけと言ってもやってしまった。創価学会の花を供えてはいけないという規則は守るくせに。
池上永一の幕末の庶民の犯罪を描いた「トロイメライ」、面白かったです。
読書録: http://j.mp/dxvYZW

投稿: kayano | 2010年12月11日 (土) 17:53

>kayanoさん
教義うんぬんはともかく、その人個人の人となりやその土地などさまざまな要因に左右されていくんでしょうね。興味深いお話ありがとうございます。

「トロイメライ」は那覇が舞台のようですね。僕も時代はちがいますが那覇についていろいろ調べていたので読みたいですね。

投稿: とらひこ | 2010年12月11日 (土) 20:22

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