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2010年10月 2日 (土)

最近の若者はダメなのか

最近の若い者は・・・

中高年の方が若者に対して向ける言葉です。20年前ぐらいは「新人類」、最近では「ゆとり世代」などと呼ばれ、「ダメな若者」として上の世代から批判されています。

約100年前の沖縄の新聞「琉球新報」には「読者倶楽部」なる読者投書欄がありましたが、そこには当時の若者を憂う投書が掲載されています。

名前:平好生投:1914(大正3)/7/1(水)
今の学生は親のスネをかじっていながら、片方ではイヤにませている。女の品評を口にするか試験の点数を苦にするか、まずこの二つを出ない。これに反して昔の学生はどうであったか。しかし自分は昔の人ではないから詳しくは知らぬ。とかく押しもせぬ押されもせない、男一匹で大道狭しと歩いたのは事実だ。今の学生のように骨を抜いたような人間が多いには駄目だ。学生諸君、かっぱつな人間になってもらいたい。

最近の学生は全然なってないそうです。というか今の若者とそれほど変わらないのでは(笑)

この投書で槍玉にあげられている当時の10~20代の若者は、現在生きていれば110歳近くの老人です。つまり皆さんのおじいさん、ひいおじいさんの世代は、上の世代の人たちから「骨を抜いたような人間」と批判されていたわけですね。「最近の若い者は・・・」と文句を言うお年寄りの方にこれを見せたら、きっとうつむいて何も言えなくなってしまうかもしれません(苦笑)

では、この投書が本当だとすると、人間は昔になればなるほど聖人君子、完璧で理想的な存在で、現代人はフヌケでモラルのないダメ人間なのでしょうか。いえ、決してそうではないと思います。数千年前から「最近の若い者は・・・」と愚痴られていたことからわかるように、歴史は常に繰り返してきたといえます。

実際、昔の記録を見ていると、現代の日本人がいかに理知的でマナーがよく、教育が行き届き社会が暮らしやすくなったかを感じることしばしばです(もちろん全ての面においてそうだとはいえませんが)。

まあ若者は上の世代よりみんなスバラシイ!と言いたいわけではありませんが、それよりもむしろ、僕は歴史のなかで人々が過去の時代を理想化し、若者や社会を批判するという現象こそ、分析すべき興味深い問題ではないかと思うのです。

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コメント

大正時代の投書欄、おもしろいですね♪
骨抜き人間かぁ…。

確か、古代エジプトだったかその石版かなにかにも
「最近の若者は…」
っていう記録が残ってるって大学の頃聞いたことがあります(´∀`)

ジェネレーションギャップから来る愚痴なんでしょうかね。。。

投稿: 和々 | 2010年10月 2日 (土) 10:38

こんにちは。
何時の時代でも、若い者は遊びや異性に興味があるものです。対して、中高年になるとそういう事に対するエネルギーが衰え、人生の経験値が上がる事によって甘っちょろく見える。そんな感じなんでしょう。

ローマ時代の遺跡からも「今時の若い者は・・・」という記録が発見されているとか(笑)
スポッツ

投稿: スポッツ | 2010年10月 2日 (土) 13:02

とらひこさん、リクエストなんですが、琉球王国での祝女と勾玉の関係について一度やっていただけませんか?
本土で平安時代には廃れた勾玉が現役だったというのは、是非くわしく知りたく思います。

投稿: nagamati | 2010年10月 3日 (日) 18:58

>和々さん
ほとんどが現代の若者に当てはまるのでおかしいですよね。

あ、あと遅れましたが、写真賞の受賞、おめでとうございます。

>スポッツさん
年寄りの若者批判はご指摘のような原因があると思うのですが、さらに浮かんだ僕の疑問は、ではなぜ自分そのものではなく、「昔という時代」を理想化するのかということです。

こうした現象は時代や地域を超えて共通していますから、やはり何か理由があるのかもしれません。

>nagamati さん
リクエストの内容ですが、現在コラムを書けるような知識を持ち合わせていませんので、今すぐ紹介できそうにありません。すみません。今後材料が揃いましたら書いてみようかと思います。

投稿: とらひこ | 2010年10月 3日 (日) 22:56

>古代エジプトだったかその石版かなにかにも「最近の若者は…」
>ローマ時代の遺跡からも「今時の若い者は・・・」

小生が記憶しているのは、古代バビロニアの粘土板に楔形文字で書かれた「最近の若者の言葉が乱れている」というものでした。

最近、気になるのは「普通に美味しい」と「何気に・・・する」。

投稿: kayano | 2010年10月 6日 (水) 11:46

>kayanoさん
言葉の乱れ、というのも難しいですよね。今の若者が使う日本語は各地の方言が様々に織り交ぜられているとも聞きました。今後の新しい日本語になるのかもしれませんね。

投稿: とらひこ | 2010年10月 8日 (金) 09:40

こんばんは、再びお邪魔します。
「ぞくぞく!目からウロコの琉球・沖縄史」予約致しました。
発刊を楽しみにしております。

ところで、昔の時代を良かったと言うのは、もう再現出来ない・戻らない時間だからこそ余計にそう感じるのかも知れません。

又、身内等の故人に対して良い思い出しか残らないのと同様、過去の時間・歴史の悪い部分・不便だった部分は思い浮かばない又は、それすら美化されてしまうと言う事があるのではと思います(時の権力者に都合の悪い記録も改竄されるしで)。
あくまで個人的見解ではありますが。

スポッツ

投稿: スポッツ | 2010年10月10日 (日) 21:00

>スポッツさん
拙著の注文ありがとうございます。

過去が良い思い出しか残らないという現象も面白いですよね。しかもそれが地域や時代を問わず、共通してみられるというのは。もしかしたらこういう問題を扱っている研究もあるかもしれませんね。

投稿: とらひこ | 2010年10月15日 (金) 00:22

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