ホントの女房とウソの女房
約100年前、大正時代で起きた珍事件をご紹介します。戦前の新聞「琉球新報」に載っている記事を現代読みになおしました。
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○ホントの女房とウソの女房
中頭郡浦添村字●●、安和良盛(30)は数年前、同字の某娘マカタ(28)と結婚し赤ん坊までできたが、村吏員の不注意によりマカタとの結婚届をマカタ妹、カマタ(20)とまちがえて戸籍簿に記入し、今まで知らずにそのままになし置きしが、それがため良盛夫婦は何かのことにまちがいを生じ、戸口調べの巡査がやって来て、
「戸主は良盛か、戸主の妻がカマタか」
と聞かるる時、良盛は怪訝な顔をして
「カマタではない、マカタである」
と訂正を申し込むと、
「ウソを言え、巡査の戸籍簿は役場の戸籍簿をチャンと引き当ててある」
と言う。良盛が
「マカタでもカマタでも同じ文字が3つあり、マカの字がカマに転倒した違いで差し支えはないが、カマタは現在妻マカタの妹で、間違えられてはチト迷惑でござる」
と説く。巡査が
「ナニ、マカタがカマタになって差し支えない法があるか、ウソと思うなら役場行って調べてみるがよい」
などと言って帰る。良盛は
「こんなうるさい質問を受けること、たびたびなるに、これはチト様子が変だわい」
と1日、村役場に出頭して戸籍をくって見たところ、まったく巡査の説くとおり、マカタがカマタに転倒してるので大いに驚き、ソコソコ裁判所へ訂正の訴訟を提起したり。
(「琉球新報」大正2年〔1913年〕10月3日)
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