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2010年2月27日 (土)

沖縄でも大地震は起きる!

2月27日早朝、沖縄本島が震度5の地震にみまわれました。沖縄の人々はこれまで経験したことのない強い揺れだったと思います。

沖縄は地震災害の危険がほとんどない、大地震とは無関係と考えられていますが、これは誤解です。たしかに頻発地帯というわけではありませんが、歴史的にみても沖縄には確実に大きな地震は起こっています。

直近の大きな地震は1911年6月15日午後11時25分と1909年8月29日午後7時30分の沖縄本島で起こった地震。震度は定かでありませんが、1909年には死者2名、負傷者13名、石垣崩壊1021ヶ所、家屋全壊7戸、半壊9戸の被害を出し、1911年には死者1名、負傷者6名、那覇市内の石垣崩壊318ヶ所に及んでいます(死者は地震による直接的な被害者ではなく、ショック死)。おそらく震度5以上であっただろうと思います。

そのほかにも1882年7月15日午前1~2時に推定震度5の地震が発生、死傷者はいませんでしたが、首里・那覇の石垣崩壊500ヶ所、首里城の城壁が90メートル崩れています。

地震の揺れよりも恐ろしいのが津波です。四方を海に囲まれた沖縄では地震そのものより、むしろその後に来る津波の被害のほうが甚大になるといえます。1771年の有名な明和の大津波(乾隆大津波)は先島を中心に1万人以上の死者を出しており、これを機に八重山の人口は激減し、王国滅亡までついに津波以前の水準に回復することはありませんでした。

そして、大津波はこの時ばかりではないことが、最近の調査でわかってきています。1771年だけでなく、約500年前、1000年前、2000年前、2400年前、3400年前にも大津波が南西諸島を襲った可能性が指摘されています。考古学調査からも地震の際の亀裂や津波による土砂体積が見つかっています。つまり、沖縄では1000年に1、2度の頻度で大津波が襲っていたことになります。

要するに結論は「沖縄は地震・津波と無関係ではない」ということです。必要以上に怖がることはありませんが、沖縄でも常日頃から地震・津波を想定した防災の意識を持っておくことが大事かもしれませんね。

参考文献:『沖縄の災害情報に関する歴史文献を主体とした総合的研究』科研報告書、河名俊男「宮古・八重山諸島と沖縄島における考古遺跡と自然災害」(『沖縄考古学会2008年度研究発表会 考古学から見た環境と自然災害』)、「琉球新報」1911年6月17日

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コメント

近刊の「古琉球王国の戦争と軍隊」は出版社はどこになりますか。

明和大津波について少し書いてみました。

http://blog.goo.ne.jp/gooeichan/e/8a5b3205c1854f413f35c9c2c60ee217

投稿: kayano | 2010年3月 1日 (月) 06:10

>kayanoさん
拙稿掲載の『新沖縄学入門(仮)』は京都の昭和堂から出る予定です。

投稿: とらひこ | 2010年3月 2日 (火) 08:46

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