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2007年12月 4日 (火)

琉球国際シンポ参加記(2)

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11月23・24日には琉球大学で「第11回琉中歴史関係国際会議」が開かれました。この会議は沖縄・日本本土・台湾・中国大陸の歴史研究者が一堂に会し、琉球と中国に関わる研究を発表する学術会議です。隔年で行われており今年は沖縄での開催となりました。11名が3セッションに分かれて最新の研究成果を報告し、それぞれが大変面白い内容でしたが、ここで全てを詳説するのは大変ですので僕がとくに興味深いと思ったものを簡単に紹介してみます。

陳碩炫(ちん・せきげん、琉球大)氏は、清代北京における琉球使節の滞在館舎(会同館)の変遷について、はじめて総合的な分析を加えた画期的な研究報告でした。琉球使節の北京での滞在場所は琉球側の史料から何となくわかっていたのですが、今回初めて具体的な状況が判明したのです。固定化される朝鮮やロシア使節館舎に対して、琉球館舎の位置が清代を通じて紫禁城へと接近していったこと、その原因として北京における琉球の進貢活動と密接に関連していたことなどを指摘。地元研究者が陥りがちな「沖縄オンリー」の視点ではなく、中国へ来る朝貢使節全体のなかから琉球使節の特徴をあぶり出すという手法は中国の研究者ならではと思いました。

また今回の目玉として北京の第一歴史档案館の館長・鄒愛連(しゅ・あいれん)氏の初来沖があげられます。档案(とうあん)とは紫禁城(故宮)などに収蔵された中国王朝の行政文書で第一級の史料。その数は膨大でいまだに未整理な文書類も多いといいます。沖縄・中国側の努力で両者の関係を築かれ、すでに6冊の琉球関係の档案史料集が刊行されています。今回は2008年新たに刊行される7冊目の史料集についての報告が行われたのです。本史料集は主に清末期の台湾出兵事件など琉球問題に関するもので、新たな発掘史料が紹介されました。

通説では台湾原住民による琉球人殺害がきっかけで日本軍の台湾出兵が行われたとされていますが、実はこの時期日本人の台湾漂着事件も起こっており、それらも出兵に大きく影響したとみられること、出兵前に日本はスパイを台湾に派遣しており中国側もそれを詳細に把握していたこと、台湾現地では日本軍来襲をかなり以前から警戒していたことなど、驚くべき事実が档案から明らかにされています。刊行される档案史料集は琉球史だけでなく、日本の近代史研究にとっても重要な研究材料となるはずです。

そのほか朱徳蘭(しゅ・とくらん、台湾中央研究院)氏による、近代台湾の基隆にあった沖縄漁民の居留地についての報告や、琉球王朝の路次楽のメロディから中国楽曲の復元を試み、その楽曲を「実演」してみせた王耀華(おう・ようか、福建師範大)氏の報告なども興味深いものでした。ちなみに僕の報告は、17世紀琉球に渡来した華人・毛国鼎の琉球史上での位置づけを海域史から検討するという内容でした。

すでに11回を迎える蓄積ある国際会議だけあって、学界最先端の研究成果が披露されたハイレベルな内容だったと思います。そして琉球史が単なる「沖縄郷土史」にとどまらない、国際的研究を行うにふさわしい分野であることを実感した学術会議でした。

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コメント

陳碩炫の先生は赤嶺守です。

清代北京における琉球使節の滞在館舎
正陽門外橫街会同館
宜武門内京畿道胡同会同館
宣武門外南橫街会同館
正陽門内公議胡同四譯館
正陽門内東城根四譯館

投稿: 瀛洲 | 2007年12月 4日 (火) 17:24

>瀛洲さん
陳さんとはお知り合いですか?詳しいですね。

投稿: とらひこ | 2007年12月 6日 (木) 00:02

 赤嶺先生と聞いて懐かしい記憶が..中国語の教師として僕が通っていた学校で教えていらっしゃいました、10年以上前に。

投稿: くに | 2007年12月 6日 (木) 01:26

>陳さんとはお知り合いですか?
はい
2005年,碩炫は福建師範大学から卒業した。

くにさん
赤嶺さんの先生は台湾大学の陳捷先です。
赤嶺さんの妻も台湾人です。

投稿: 瀛洲 | 2007年12月 6日 (木) 18:04

>くにさん
赤嶺先生は中国語の講師もしてたんですね。

>瀛洲さん
そうだったんですか。陳さんは今回が初対面でしたが、熱心に研究されてるようですね。

投稿: とらひこ | 2007年12月 6日 (木) 23:08

googleで「南功栄」と検索したら・・・このページが出てきました。
わざとか?

投稿: うえはらしょうぢ | 2012年1月 6日 (金) 09:41

>うえはらしょうぢさん
わざとです。彼の依頼によるものです。

投稿: とらひこ | 2012年1月 6日 (金) 10:00

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