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2007年5月26日 (土)

琉球に土の城塞都市!?

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琉球の城塞(じょうさい)といえば「グスク」と呼ばれる遺跡です。「グスク」というと、多くの方は世界遺産となった首里城や今帰仁グスク、勝連グスクなどの石灰岩の石積みで築かれたものを思い浮かべると思います。しかし、これらの有名な遺跡はグスク全体のほんの1パーセントほどにすぎません。実はグスクは南西諸島に300以上あって、しかも石積みではない「土でできたグスク」もたくさんあるのです。

土でできた代表的なグスクといえば、桜で有名な名護グスク(名護市)。名護グスクを訪れた方は、グスクと呼ばれているのになぜ首里城のような城壁がないのか疑問に思ったかもしれません。実はそれは何も残ってないのではなく、名護グスクはもともと土でできたグスクなので、その跡がわかりにくいだけなのです。よく観察すると、山の尾根を断ち切って掘状にした跡や、造成された平場などが確認できます。

土のグスクはとくに沖縄島北部から奄美諸島にかけて分布しています。その構造は室町から戦国時代の日本でつくられていた中世城郭とよく似たものです(日本の中世城郭についてはこちら)。この地域に土のグスクが多い理由は、城壁に使われる琉球石灰岩が沖縄島の中南部と比較してあまり多くないことが、そのひとつとして考えられます。しかし中南部に土でできたグスクが全くないわけではありません。

ところで皆さんは「琉球に土でできた城塞都市が存在した」と聞いたら、ビックリされるのではないでしょうか。しかもその規模は首里城よりも大きく、豪華だったとしたら?

「そんなものあるはずない!」と一笑に付されるかもしれません。しかし、「それ」は確かに存在していました。既成概念を捨てて発想を変えることによって、これまでほとんど注目されてこなかった驚くべき事実が浮かび上がってくるのです。その正体とはいったい何なのか?

ここまで引っぱっておいて何ですが、その答えは次回ということで。

【写真】は浦添グスク南側にある土でできた郭。盛り土によって人工的にグスクから突き出した丘をつくっている。

参考文献:沖縄県教育委員会文化課編『ぐすく グスク分布調査報告(Ⅰ)』、當眞嗣一「いわゆる「土から成るグスク」について」(『沖縄県立博物館紀要』23号)

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