90年前の2ちゃんねる(沖縄版)
「2ちゃんねる」といえば、言わずと知れたネット上の巨大掲示板。様々な年齢・ジャンルの人々が自由に意見を交換できる一方、悪意のある書き込みやデマも広められる危険性もたびたび指摘されています。評価は人それぞれでしょうが、この掲示板が爆発的に利用されるようになった要因には「誰でも」「匿名で」書き込みができることがあったように思います。
掲示板に日々書き込まれる内容は、現代という時代の雰囲気、人々の様々な思いや考えをダイレクトに反映するものとしてとらえることができますが、このような庶民たちが自らの意見をありのまま主張できる場はネット以前には全くなかったのでしょうか。
…ということで探してみたところ、戦前の沖縄にも「2ちゃんねる」らしきものがありました。それが「琉球新報」の「読者倶楽部」です。新聞なので当然、編集部が投稿文にチェックを入れるはずですが、実際に読んでみると本当にチェックしているのかと疑うほど、やりたい放題の“書き込み”が数多く並んでいます。これはほとんど「2ちゃんねる」状態ではないか。それが僕の感想でした。
それでは、大正時代・沖縄の「名無し」さんたちの“生の声”を聞いてみてください。なるべく原文に忠実に載せていますが、旧かなづかい・旧漢字は現代の読み方に置きかえてあります。名前(ハンドルネーム)や内容は一切加工していません。
1 名前:推察生:1916(大正5)/3/1(水)
凸面坊の野郎、またまた変名したねー。医局次郎生とか次郎生とやら命名して人身攻撃に熱中している、変名してまでも人を攻撃する馬鹿野郎もいたものだ。
2 名前:青年党:1916/3/1(水)
欧州は戦争でシナは動乱で、米国は軍備拡張問題で帝国は議会の諸問題で、那覇区は落平街道問題でいずれも騒ぎ出して事態いよいよ重大だ。われら青年の覚醒すべきは今である!
3 名前:郭之助:1916/3/1(水)
郭(遊郭。今でいう風俗)通の一人・郭浪人君、近頃おめでたいことがあるそうだね、今から待ちかねています。
4 名前:中学生:1916/3/2(木)
近頃の寒気はシャクにさわってならない。僕らは東京に行ってどう暮らすかと今から心配でならない。
5 名前:郭浪人:1916/3/2(木)
>>3
余輩に向かって郭博士だの郭通だのと称号を授けられ、一方ならぬ迷惑なり。今後、余は足を洗って正道を踏まんとす。さいわいに諸君許したまえ。
6 名前:会社犬:1916/3/2(木)
「犬は三日飼えば三年恩をむくいる」と言っているが、人間は犬とはアベコベに「三年飼えば三日むくいる」であろう。僕らは数年間も飼われた主人がクビきられた際には、その主人は捨てても新しい主人に従わなければメシは食えない。人間は犬よりも知恵がまさったばかりだ。
7 名前:カマデぐゎー:1916/3/3(金)
盛一君、今は帽子をあんで大いに働いているそうだねー。熱心にキバレキバレ(チバレ。頑張れ)。
8 名前:浮世通:1916/3/3(金)
近頃職業が増えてきた。無職の人々は勉強して今の場合、就職すべしだ。
9 名前:言われた人:1916/3/3(金)
人のなじみ女郎の前で人の悪口を言うのは道徳上または友情としてもよくありません。
10 名前:海月:1916/3/4(土)
常識の何ものたるも解しえないくせに、他人に向かって非常識とか没常識とか言う人こそ狂忘愚昧の極にしていわゆる常識の欠けた人間だと思う。
11 名前:傍観生:1916/3/4(土)
>>1-10
円満ということは隠れたる宝です。朋輩同士の争いはあまりほめた話ではありません。
12 名前:知らない人:1916/3/5(日)
日本の無線電信局は何県にありますか?ご存じの方は本欄へお記入ください。
13 名前:訥庵生:1916/3/5(日)
>>10
海月君。君とケンカしているから僕はいまだ死んでいないんだ、一筆返すのは僕の義務だよ。今のところ誰が非常識やらわかりかねるね。三千世界広しといえども放蕩堕落を人間の本能と論じた識者はかつて聞いた覚えがない。君はかくのごとく主張している。とにかくね、人間は結果を見るんだ、君が人間の本能なる放蕩を極度に発揮した結果、総理大臣にでもなったとすれば、昔君を罵倒した俺は立派に割腹して君を満足させる、君が放蕩して大臣になると反対した結果、僕は乞食にでもなって、はかなく身を終わるであろう。
↓ランキング投票よろしくお願いします(緑のボタンをクリック)
| 固定リンク
コメント
たしかに。
これは圧倒的におもしろいですね!
投稿: びん | 2006年10月 2日 (月) 11:54
>びんさん
まだまだ続きますので、次回以降をお楽しみに。
投稿: とらひこ | 2006年10月 2日 (月) 18:22