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2005年11月10日 (木)

沖縄にいた?トラとサル

沖縄県内の遺跡を発掘調査すると、しばしば意外なものが掘り出されます。最近、首里城からサルの骨が発掘されて話題になりました。さらに今帰仁グスクからは何とトラの骨が発見されています。現在、沖縄県内にはトラやサルは生息していません。これらの骨はどうして存在しているのでしょうか。その謎をさぐってみましょう。

今帰仁グスクから掘り出されたトラの骨は全ての骨格はそろっておらず、下あごの部分だけが見つかっています。残された骨を詳しく調査した結果、骨には意図的に削られたあとがあることがわかりました。トラの骨は何らかの加工がされたということが言えます。おそらくトラの骨は、死後にはく製か“トラの皮”のような製品として加工され、海外から今帰仁グスクに持ち込まれたものと考えられます。あるいは生きたまま連れてこられた後、死んでからはく製などにされた可能性もあります。このトラは中国か朝鮮からもたらされたものでしょう。

中世においてトラは武勇の象徴とされていました。このトラが北山王の居城であった今帰仁グスクから見つかったのも興味深い点です。北山王の攀安知(はんあんち)は「武芸絶倫」といわれた勇猛な王だったからです。もしかしたら武を好む攀安知がトラをペットとして連れてきたのではないか…想像はふくらみます。

サルの骨は首里城の南側で発見されました。骨はオス・メスの2体があり、分析からヤクシマザルであることが判明しました。時期は16~17世紀(戦国時代から江戸時代初め頃)で、鹿児島の屋久島から持ち込まれたサルであると考えられます。このサルはおそらくツガイで持ち込まれ、首里城内でペットとして飼育されていたのでしょう。

何百年も前に、はるか遠くから動物を生きたまま運んでくるなんて考えられないと思う方もいるかもしれませんが、このような例はけっこうあります。まず琉球から中国への貿易品として馬が生きたまま毎年何十頭も送られていたことがありますし、中国・東南アジアから琉球へオウムがもたらされ、ペットにされていたとの記録もあります。さらに室町時代の日本では東南アジアから象やクジャクが京都まで送られた例があります。このように珍しい動物が貿易品としてやり取りされていたわけです。沖縄で見つかったトラやシカもそのような例のひとつといえます。

余談ですが、現在、慶良間諸島の阿嘉島には天然記念物のシカが生息しています(ケラマジカ)。これは在来種ではなくて、17世紀に薩摩から持ち込まれ、放し飼いにしたシカが野生化したものです。阿嘉島の山中を歩いているとたまに出くわしますよ。

参考文献:『首里城跡-管理用道路地区発掘調査報告書-』、『今帰仁城跡調査報告Ⅱ』

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コメント

興味深く拝見しました。
読み応えのあるブログを作られていますね。
すばらしいです。
少しずつ楽しませていただこうと思います。

投稿: こーいちろー | 2005年11月13日 (日) 12:58

>こーいちろーさん

訪問ありがとうございます。
いたらないところもあると思いますが、その際には遠慮なく指摘してください。今後もよろしくお願いします。

投稿: とらひこ | 2005年11月19日 (土) 15:34

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